依田一義の不動産blog

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依田一義の不動産コラム ~家賃が高い都市ランキング~

最新の「家賃が高い都市ランキング」が発表され、東京が4位となった。アジア圏では香港に次いで2番目だ。

香港と比較すると年間平均159万円賃料が安くつくが、同じく生活費の高いイメージが定着しつつある9位のシンガポールよりも、350万円高いということになる。

ロンドンや香港をぬいて、1位に輝いたのはニューヨーク。大都市の不動産価格が急上昇中の米国からは、サンフランシスコ、ロスアンゼルスがトップ10いりしている。

対照的に、2年半にわたり最も賃料が高い都市だったロンドンは、昨年からの急激な不動産価格の下落に加え、今年6月に決定したBrexitによるポンド急落で、一気に3位まで後退した。

 

■東京の家賃は香港、シンガポールの22倍の速度で変動

 

ランキングは米CNN Moneyが8月5日に発表したもので、ロンドンとドバイ以外の都市の賃貸住宅費が、2015年12月から上昇傾向にあることがわかる。

中でも東京の家賃の変動率は22%と、「住宅バブルの再来か」といわれるニューヨークの11倍の速度で高騰していることになる。

香港、シンガポールの伸びがともに1%であることを考慮すると、アジア圏内では22倍と異様な速度だ。

その反面、マンションバブルの崩壊や、高齢化にともなう空き室増加の報告もあり、東京では立地条件などに家賃も含めた住宅価格が大きく左右されているようだ。

都内の家賃が高すぎるため、郊外からの通勤に何時間も費やす消費者も多い中、このまま高騰の勢いが継続すれば、その郊外にまで影響が拡大されてくるかも知れない。

 

■住宅バブルは落ち着いても、逆に家賃があがった英国?

 

ランキング上は、過去8カ月間で最も急激に賃貸価格が落ちこんだロンドン。

近年手のつけようがないまでに高騰していたロンドンの住宅バブルの崩壊については、以前から懸念されていた。特にケンジントン・ハイストリートなどの高級住宅地では、昨年から最高180万ポンド(約2億3801万円)以上もの下落が見られ、Brexitで欧州全体に広がる不透明な先行きが、バブルのピークに完全に歯止めをかけた感が強い。

しかしそれがそのまま家賃に反映されているという体感は薄く、11%減とはいうものの、まだまだ消費者の生活を圧迫していることには変わりがない。

また今年4月に導入された印紙税の引きあげを理由に、庶民向け物件の家賃を値上げする家主が続出。庶民の負担を軽減させる目的であったはずの改正が、結果的には逆に負担を重くさせてしまった。

BBC放送が今月発表した調査からも、ロンドンの家賃が平均所得の50%を上回っていることが明らかになっている。

先進国で進む住宅費の高騰を、どうにか食いとめる手段はないものだろうか。

 

■家賃が最も高い10都市、年間平均住宅費と昨年12月からの変動率

 

10位 ロスアンゼルス(米)5215ドル/約508万円 3%増

9位 シドニー(豪)5万768ドル/約514万円 3%増

8位 ドバイアラブ首長国連邦)5万3913ドル/約546万円)7%減

7位 シンガポールシンガポール)6万1335ドル/621万円 1%増

6位 サンフランシスコ(米)6万6269ドル/約671万円 0%

5位 パリ(仏)8万2881ドル/約839万円 6%増

4位 東京(日)8万5332ドル/約864万円 22%増

3位 ロンドン(英)10万141ドル/約1014万 11%減

2位 香港(中)10万984ドル/約1023万円 1%増

1位 ニューヨーク(米)11万4010ドル/約1154万円 2%増