依田一義の不動産blog

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依田一義の不動産コラム ~本のホテル資産取引に関する調査~

総合不動産サービスを手掛けるジョーンズ ラング ラサール株式会社は4月12日、日本のホテル資産取引に関する調査結果を発表した。発表によると2015年1月から12月に取引されたホテルの数(関連会社間の取引やJ-REITが自身のスポンサーから購入した取引は除く)は前年比5.7%増の111件で、2年連続で過去最高となった。

ホテル取引の買主をみると、J-REITが25%で最も多かった。以下は日系不動産会社の17%、外資系不動産ファンドの14%、日系不動産ファンドと日系ホテル運営会社の13%などとなった。買主の属性は2014年と大きな変化はみられないものの、J-REITへ組み入れを前提としたJ-REITのスポンサーの取引を含めると、半数近くがJ-REITがらみの取引になると同社では分析している。

また、今後については2020年の東京オリンピック開催に加え、観光立国を目指す政府の後押しもあり、ホテルは投資商品として魅力が増すと分析。さらに、今年もホテルや旅館に特化したJ-REITの上場が予定されており、ホテルの取得競争が激しくなっていくと予想している。

一方、アパートなどの投資用不動産市場では価格が上昇しているようだ。株式会社ファーストロジックは4月8日、3月1日から31日の間に運営する不動産投資サイトに新規掲載された物件と、問い合わせがあった物件のデータをまとめた「投資用 市場動向データ 最新版2016年3月期分」を発表した。

想定される家賃収入を物件の購入価格で割った「表面利回り」の推移をみると、一棟アパートの場合、新規掲載物件の表面利回りは9.21%で前月比で0.15ポイント下落、前年比で4.6ポイント下落した。問合せがあった物件の表面利回りも10.91%で前月比で0.36ポイント下落、前年比で0.72ポイント下落した。一棟マンションの場合、表面利回りは7.83%で前月比で0.1ポイント下落、前年比で0.67ポイント下落した。問合せがあった物件の表面利回りは9.50%で前月比で0.07ポイント上昇したものの、前年比では0.72ポイント下落した。

2020年の東京オリンピックやマイナス金利の影響を受けて、不動産業界では、ホテルの取得競争や投資用不動産の価格上昇などが見られる。当面、不動産取引は過熱気味の状況が続きそうだ。